特別な夜に開ける「イチローズモルト MWR」
今日は、仕事でちょっとした山を越えた記念に、以前から大切にしまってあったイチローズモルト ミズナラウッドリザーブ(MWR)をとうとう開けることにした。この700mlのボトルを眺めるたび、いつか特別な日に、と思っていたんだ。そして、今日がまさにその日だと感じた。
栓を開けた瞬間に広がる香りに、まず心を奪われた。グラスに注ぐと、その美しい琥珀色がまた期待を高める。一口含むと、まず感じたのはドライフルーツのような凝縮された甘み。そしてすぐに、ミズナラ樽特有の、まるで伽羅や白檀を思わせるオリエンタルな香りが鼻腔をくすぐる。ああ、これが日本のウイスキーが世界で評価される所以かと、改めて実感する。
口の中で転がすと、ピーティーさも顔を出すけれど、それが決して主張しすぎず、まろやかなチョコレートのような甘みと絶妙に調和している。複雑なのに、どこか優しい。まるで、長い時間をかけて熟成された物語を読んでいるような感覚だ。
今回はまず、ストレートでゆっくりと味わってみた。舌の上で溶けるような滑らかさがあり、余韻も長く、フルーティーな香りがいつまでも残る。その中に微かに感じるスモーキーなフィニッシュがまた、次のSIPを誘うんだ。
普段はハイボールを好む僕だけど、これはストレートでじっくりと、その複雑な香りと味わいの変化を楽しむのが最高のようだ。しかし、試しにほんの少しだけ加水してみると、香りがさらに開いて、白檀の香りがより明確になった気がする。これはこれで面白い発見だった。
ネットのレビューで「和食との相性が良い」と読んだことがあるけれど、確かにこの落ち着いた香りと味わいは、繊細な和の風味にも寄り添ってくれるだろう。次回は、旬の食材を使った和食と合わせてみようかな。
このイチローズモルト MWRは、ワールド・ウイスキー・アワードなどの品評会で数々の賞を受賞しているだけあって、その品質は疑う余地がない。でも、単に「美味しい」という言葉だけでは伝えきれない、作り手の情熱やこだわりがボトルに詰まっているように感じた。
正直なところ、今はなかなか手に入りにくくなっていて、値段もそれなりにするけれど、それだけの価値は十分にあると思う。今日のこの特別な時間を、この一本のウイスキーがさらに豊かにしてくれた。本当に、心から満足のいく一杯だった。
またいつか、今日のような特別な日に、この香りと再会できることを願って。ごちそうさまでした。
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